近年、AIの発展により、様々な業務の効率化が進んでいます。その中でも特に注目を集めているのが、文字起こし技術です。長時間の会議や講演、インタビューなどの音声データを文字に起こす作業は、これまで多くの時間と労力を要していました。しかし、AIによる文字起こしツールの登場により、この作業が驚くほど簡単になりました。
今回は、そんなAI文字起こしツールの中でも特に優れた性能を持つ「Gladia」について、詳しく解説していきます。Gladiaの特徴や使い方、料金プランなどを徹底的に紹介し、あなたの業務効率化に役立つ情報をお届けします。
【2024年最新】文字起こしAIツール3選!実際に使ってみた
この記事はこんな人におすすめ
・長文の文字お越しをしてくれる、無料で使える文字お越しAIツールを探している
Gladiaとは?
Gladiaより引用
Gladiaは、フランスのスタートアップ企業が開発した高性能な文字起こしAIツールです。OpenAIが公開している音声認識AI「Whisper」をベースに、独自の改良を加えた「Whisper-Zero」モデルを採用しています。
Gladiaより引用
Gladiaの最大の特徴は、その高い精度と処理速度です。一般的な音声認識の精度を示す「単語誤り率(WER)」において、Gladiaは業界トップクラスの低さを誇ります。具体的には、WERが8.06%、正解率が91.94%という驚異的な数値を記録しています。
これは、Google Speech-To-Text(WER:16.51%〜20.63%)やAmazon Transcribe(WER:18.42%〜22%)といった他の有名サービスと比較しても、圧倒的に高い精度です。
さらに、Gladiaは日本語を含む99言語に対応しており、多言語での文字起こしや翻訳にも対応しています。これにより、グローバルなビジネスシーンでも幅広く活用することができます。
Gladiaでできること
Gladiaは、単なる文字起こしツールにとどまらず、多彩な機能を提供しています。以下に、Gladiaの主な機能をご紹介します。
・高精度な文字起こし
・多様なソースからの文字起こし
・リアルタイム文字起こし
・不要な言葉の自動除去
・話者の自動検出
・多言語対応と翻訳機能
・高度な編集機能
・多様な出力形式
1. 高精度な文字起こし
Gladiaの核となる機能が、高精度な文字起こしです。音声データや動画ファイルをアップロードするだけで、驚くほど正確な文字起こしを行います。特に、クリアな音声環境下では、ほぼ人間が行ったかのような精度で文字起こしを実現します。
2. 多様なソースからの文字起こし
Gladiaは、様々なソースから文字起こしを行うことができます。具体的には以下のような方法があります:
- 動画ファイルのアップロード(MP4など)
- 音声ファイルのアップロード(MP3など)
- YouTubeやTikTok、Facebookなどの動画URLを入力
- リアルタイムでの音声入力
これにより、会議の録音データはもちろん、YouTubeの動画コンテンツやポッドキャストなど、幅広いメディアに対応できます。
3. リアルタイム文字起こし
Gladiaの特筆すべき機能の一つが、リアルタイムでの文字起こしです。会議やインタビューなどの最中に、リアルタイムで音声を文字に変換することができます。これにより、議事録作成の手間を大幅に削減できるだけでなく、聴覚障害者の方々のコミュニケーション支援ツールとしても活用できます。
4. 不要な言葉の自動除去
Gladiaは、文字起こしの際に「えー」「あの」「えーっと」といった無意味なつなぎ言葉を自動的に認識し、除去してくれます。これにより、読みやすく整理された文字起こし結果を得ることができ、後処理の手間を大幅に削減できます。
5. 話者の自動検出
Gladiaより引用
複数の話者が登場する音声データでも、Gladiaは各話者を自動的に検出し、文字起こし結果に反映します。例えば、2人の話者がいる場合、「SPEAKER0」「SPEAKER1」といった形で各発言を区別して表示します。これにより、インタビューや座談会などの文字起こしが格段に容易になります。
6. 多言語対応と翻訳機能
Gladiaは99言語に対応しており、日本語はもちろん、英語やフランス語、中国語など、世界中の主要言語での文字起こしが可能です。さらに、文字起こし後のテキストを別の言語に翻訳する機能も備えています。これにより、国際会議の議事録作成や、外国語コンテンツの翻訳など、グローバルなビジネスシーンでの活用が可能です。
7. 高度な編集機能
Gladiaは、文字起こし後のテキストを簡単に編集できる機能を提供しています。文字起こし結果の各単語をクリックすると、その部分の音声を再生できるため、正確性の確認や修正が容易です。また、タイムスタンプ機能により、音声の特定の部分にすぐにアクセスすることができます。
8. 多様な出力形式
Gladiaは、文字起こし結果を様々な形式で出力することができます。JSON、プレーンテキスト、SRT(字幕ファイル形式)、VTT(Web動画用字幕形式)などに対応しており、用途に応じて最適な形式を選択できます。
これらの機能により、Gladiaは単なる文字起こしツールを超えて、多様なニーズに応える総合的な音声テキスト変換ソリューションとなっています。次のセクションでは、Gladiaの料金プランについて詳しく見ていきましょう。
Gladiaの料金は?無料?
Gladiaの料金プランは、ユーザーのニーズに合わせて柔軟に設計されています。現在、以下の3つのプランが提供されています:
- 無料プラン
- プロプラン
- エンタープライズプラン
フリープラン
Gladiaの最大の魅力の一つが、このフリープランです。
フリープランでは、月に10時間まで無料で文字起こしを利用することができます。これは、個人ユーザーや小規模なチーム、あるいはGladiaの機能を試してみたい方にとって非常に魅力的なオプションです。
10時間という制限は、一般的な使用では十分な量であり、多くのユーザーにとって追加料金なしで利用できる可能性が高いでしょう。例えば、週に1回の1時間の会議の議事録作成や、月に2〜3本の長めのポッドキャストの文字起こしなどに十分対応できます。
プロプラン
フリープランの10時間を超える利用が必要な場合や、より高度な機能が必要な場合は、プロプランへのアップグレードを検討することができます。プロプランは従量制となっており、使用した分だけ料金を支払う仕組みになっています。
プロプランの具体的な料金は公式サイトで確認する必要がありますが、一般的に、使用量に応じて段階的に価格が設定されています。例えば、月に20時間の利用であれば、フリープランの10時間分は無料で、残りの10時間分のみが課金対象となるような仕組みです。
エンタープライズプラン
大規模な企業や、特別なカスタマイズが必要な場合は、エンタープライズプランが用意されています。このプランでは、Gladiaのチームと直接相談しながら、組織のニーズに合わせたカスタムソリューションを構築することができます。
エンタープライズプランでは、以下のような追加機能やサービスが提供される可能性があります:
- 大容量のデータ処理
- セキュリティ強化オプション
- API連携
- カスタムモデルの開発
- 専任のサポートチーム
エンタープライズプランの料金は、各組織のニーズや利用規模によって個別に設定されます。
料金プランの選び方
Gladiaの料金プランを選ぶ際は、以下の点を考慮するとよいでしょう:
- 月間の利用時間:フリープランの10時間で十分か、それ以上必要かを検討します。
- 必要な機能:基本的な文字起こし機能だけでよいか、より高度な機能が必要かを確認します。
- セキュリティ要件:取り扱うデータの機密性や、組織のセキュリティポリシーを考慮します。
- スケーラビリティ:将来的な利用拡大の可能性を考慮し、柔軟に対応できるプランを選びます。
Gladiaの料金体系は、個人ユーザーから大企業まで幅広いニーズに対応できるよう設計されています。まずはフリープランで機能を試してみて、必要に応じてアップグレードを検討するのが賢明でしょう。
次のセクションでは、実際のGladiaの使い方について、詳しく解説していきます。
Gladiaの登録方法~使い方
Gladiaの登録~使い方は非常に直感的で、初めての方でも簡単に利用することができます。ここでは、Gladiaを使って文字起こしを行う基本的な手順を、ステップバイステップで解説していきます。
1. アカウント登録
まず、Gladiaを利用するためにはアカウントを作成する必要があります。以下の手順でアカウントを登録しましょう:
Gladiaの公式サイトにアクセスします。
画面右上の「Sign up」または「Sign up for free」ボタンをクリックします。
Googleアカウントでのログインか、メールアドレスでの直接登録を選択します。
必要な情報(会社名、職業、Gladiaを知ったきっかけなど)を入力します。
以下の画面になれば登録完了です。
2. 文字起こしの開始
アカウント登録が完了したら、早速文字起こしを始めることができます。Gladiaでは、主に3つの方法で文字起こしを行うことができます:
- Paste video link: YouTubeやTikTok、Facebookなどの動画URLを入力して文字起こし
- Upload a file: 手元にある音声ファイルや動画ファイルをアップロードして文字起こし
- Live Transcription: リアルタイムでの音声入力による文字起こし
ここでは、YouTubeの動画URLを使った文字起こしの手順を詳しく見ていきましょう。
3. YouTubeの動画URLを使った文字起こし
- Gladiaのダッシュボード画面で「Playground」メニューを選択します。
- 「Paste video link」オプションを選びます。
- YouTubeの動画URLを入力します。注意点として、共有用の短縮URLではなく、ブラウザのアドレスバーに表示される完全なURLを使用します。
ヒカキンさんのYoutube動画を文字お越ししてみたいとおもいます。
「Paste video link」を押下
Youtubeの動画URLをコピーします。
URLを入力すると、「Next」という風にボタンが青くなります。
4. 文字起こしの設定
URLを入力すると、文字起こしの設定画面が表示されます。ここで以下の設定を行います:
- Audio Language: 音声の言語を選択します。自動検出か、手動で言語を指定するかを選べます。精度を上げるためには、手動で正確な言語を指定することをおすすめします。
- Diarization: 複数の話者を自動検出する機能です。ONにすることで、各発言を話者ごとに区別して表示します。
- Translate transcription: 文字起こし結果を別の言語に翻訳する機能です。必要に応じて使用します。
特に設定上いじる必要はないと考えました。
5. 文字起こしの実行
すべての設定が完了したら、画面右上の「Transcribe」ボタンをクリックして文字起こしを開始します。Gladiaの処理速度は非常に高速で、例えば65分の動画でも約5分程度で文字起こしが完了します。
6. 結果の確認と編集
文字起こしが完了すると、結果が画面に表示されます。ここで以下のような操作が可能です:
- 文字起こし結果のテキストをクリックすると、その部分の音声が再生されます。これにより、正確性の確認や修正が容易になります。
- 話者ごとに「SPEAKER0」「SPEAKER1」などと表示されるので、複数の話者の発言を容易に区別することができます。
- 画面右側のパネルでは、タイムスタンプや話者情報、信頼度スコアなどの詳細情報を確認できます。
- 必要に応じて、テキストを直接編集することも可能です。
実際に文字お越しされたものは以下の通りです。
7. 結果の出力
文字起こし結果の確認と編集が完了したら、結果を出力します。Gladiaでは以下の形式での出力が可能です。
「SRT」「VTT」「Plain text」
リアルタイム文字起こしの使用方法
Gladiaの特徴的な機能の一つが、リアルタイムでの文字起こしです。この機能を使用するには以下の手順を踏みます:
ダッシュボードから「Real-time」を選択し、Nextを押下します。
音声言語を選択します。
「Start Recording」ボタンをクリックして録音を開始します。
マイクを通じて音声を入力すると、リアルタイムで文字起こしが行われます。
録音が終わったら「Stop Recording」をクリックします。
結果を確認し、必要に応じて編集を行います。
最後に、希望の形式で結果をダウンロードします。
APIの利用
より高度な利用や自社システムとの連携を行いたい場合、GladiaのAPIを利用することができます。APIを使用することで、以下のようなことが可能になります:
- 自社のアプリケーションやウェブサイトにGladiaの文字起こし機能を組み込む
- バッチ処理による大量の音声ファイルの一括文字起こし
- リアルタイム文字起こし機能の自社サービスへの統合
APIの利用には、プロプランまたはエンタープライズプランへの加入が必要です。APIキーの取得や具体的な実装方法については、Gladiaの開発者ドキュメントを参照してください。
Gladiaを使う際の注意点
Gladiaを効果的に使用するために、以下の点に注意しましょう:
- 音声の品質:クリアな音声ほど高精度の文字起こしが可能です。可能な限りノイズの少ない環境で録音を行いましょう。
- 言語設定:自動言語検出機能もありますが、正確な言語を手動で指定することで、より高い精度が得られます。
- 専門用語の扱い:特定の業界や分野に特化した専門用語が多用される場合、事前にカスタム辞書を作成することで精度を向上させることができます。
- プライバシーとセキュリティ:機密性の高い情報を含む音声データを扱う場合は、エンタープライズプランでのセキュリティ強化オプションの利用を検討しましょう。
- 定期的な確認:AIによる文字起こしは非常に高精度ですが、完璧ではありません。重要なドキュメントの場合は、人間による確認と編集を行うことをおすすめします。
Gladiaの使い方は、基本的にはこれだけです。直感的なインターフェースと高度な機能の組み合わせにより、初心者でも簡単に高品質な文字起こしを行うことができます。次のセクションでは、Gladia以外の文字起こしAIツールについて比較検討していきます。
Gladia以外の文字起こしAIツールはある?
Gladiaは確かに優れた文字起こしAIツールですが、市場には他にも多くの選択肢があります。以下の記事では、Gladia以外の主要な文字起こしAIツールを紹介し、それぞれの特徴や長所、短所を比較検討していきます。良かったらご覧ください
自身のニーズや予算、技術環境を十分に検討した上で、最適なツールを選択することが重要です。
まとめ
本記事では、AI文字起こしツール「Gladia」について詳しく解説してきました。Gladiaは、高精度、高速処理、使いやすさを兼ね備えた優れたツールであり、多くのユーザーにとって理想的な選択肢となるでしょう。以下に、Gladiaの主要なポイントをまとめます:
- 高精度な文字起こし:
Gladiaは業界トップクラスの低い単語誤り率(WER)を誇り、非常に高精度な文字起こしが可能です。 - 多言語対応:
99言語に対応しており、グローバルなビジネス環境での利用に適しています。 - 使いやすいインターフェース:
直感的な操作性により、技術的な知識がなくても簡単に利用できます。 - 多様な入力ソース:
音声ファイル、動画ファイル、YouTubeなどの動画URL、リアルタイム音声入力など、様々なソースからの文字起こしが可能です。 - リアルタイム文字起こし:
会議やインタビューなどのライブイベントでのリアルタイム文字起こしに対応しています。 - 柔軟な料金プラン:
月10時間までの無料プランから、大規模企業向けのエンタープライズプランまで、幅広いニーズに対応しています。 - 高度な編集機能:
文字起こし結果の確認や編集が容易で、高品質な最終成果物を作成できます。 - API提供:
開発者向けにAPIが提供されており、自社システムへの統合が可能です。
Gladiaは、個人ユーザーから大企業まで、幅広い層のニーズに応える優れたツールです。特に、高精度な文字起こしが必要な場合や、多言語環境での利用、リアルタイム文字起こしが求められる場面で、その真価を発揮します。一方で、特定の業界や用途、既存システムとの連携などを考慮すると、Google Speech-to-TextやAmazon Transcribeなど、他のサービスが適している場合もあります。自身のニーズや予算、技術環境を十分に検討した上で、最適なツールを選択することが重要です。
趣味:業務効率化、RPA、AI、サウナ、音楽
職務経験:ECマーチャンダイザー、WEBマーケティング、リードナーチャリング支援
所有資格:Google AI Essentials,HubSpot Inbound Certification,HubSpot Marketing Software Certification,HubSpot Inbound Sales Certification
書籍掲載実績:Chrome拡張×ChatGPTで作業効率化/工学社出版
突如、社内にて資料100件を毎月作ることとなり、何とかサボれないかとテクノロジー初心者が業務効率化にハマる。AIのスキルがない初心者レベルでもできる業務効率化やAIツールを紹介。中の人はSEO歴5年、HubSpot歴1年