Appleは日本時間2024年6月11日に、開発者向けイベント「WWDC24」で、自社の新しい人工知能(AI)「Apple Intelligence」を発表しました。
この発表は、AIの世界に大きな衝撃を与えるものとなりました。
本記事では、「Apple Intelligence」とは何か、どのようなことができるのか、ChatGPTとの違いは何か、Appleの戦略、そしてイーロン・マスクの反応など、さまざまな角度から「Apple Intelligence」について解説します。
この記事はこんな人におすすめ
・「Apple Intelligence」できることを知りたい
・「Apple Intelligence」がいつから使えるのか知りたい
・OpenAIとの提携についても気になる
「Apple Intelligence」とは?
YOUTUBEより引用
「Apple Intelligence」は、iPhoneやiPad、Macなどのデバイス上で動作するApple独自の人工知能です。同じ頭文字のAIとは、Artificial Intelligence(人工知能)ではなく、Apple Intelligenceの略称です。
Apple Intelligenceは、AIアシスタントとしてチャット形式で音声やテキストでのやり取りができるほか、アプリの操作もできます。さらに、テキストや画像の生成といった創作機能も備えています。
つまり、Apple Intelligenceは単なるアシスタントではなく、さまざまな機能を1つのAIで実現しようとするものです。それではApple Intelligenceでできることを見ていきましょう!
#WWDC24の内容は以下からご視聴可能です。
YOUTUBEより引用
「Apple Intelligence」できること!「Siri」がスーパー神機能に
Apple Intelligenceの中核となるのが、音声アシスタント「Siri」です。Siriは大幅にパワーアップし、まるで”スーパー神機能”のようになりました。
YOUTUBEより引用
・音声入力に加え、テキスト入力にも対応
・画面情報を認識・理解し、的確なアシストが可能に
・幅広いアプリとの連携強化で、AIアシスタントの活用範囲が大幅に拡大
・入力の自由度が高まり、手間のかからない快適な操作性を実現
・音声入力に加え、テキスト入力にも対応(Type to Siri)
Apple Intelligenceを搭載したSiriは、ユーザーが今打っているスクリーン上の情報を認識し、その文脈から質問に応えたり、アクションを実行したりできるようになります。
例えば以下はアラーム設定を打ち込んでAIにお願いしてもらう様子です。
例えば、メッセージアプリで友人から送られてきた住所の情報を認識し、「この住所を連絡先に追加して」と言えば、その通りにアクションを実行してくれます。
今までのSiriと違うのは「過去命令したことを覚えていること」。
AIを活用している人たちはこれがどんな意味を表しているかわかりますよね。
相当iPhoneの使用が楽々になります。
AIライティングが可能に(Writing Tools)
YOUTUBEより引用
ライティングツールが大幅に強化されました。リライト機能により、文章作成をAIがサポートします。また、校正機能ではAIが誤字脱字をチェックし、要約機能を使えば長い文章でもポイントを効率的に把握できるようになります。
これらの機能はシステム全体だけでなく、サードパーティ製アプリでも活用可能です。ライティングの効率が大幅に向上し、プロフェッショナルな文章作成をAIがバックアップします。
画像作成機能(Image Playground)
YOUTUBEより引用
画像作成機能が大幅に強化されました。テーマやアイテムを選ぶだけで、AIが自動で画像を数秒で生成します。この機能はメッセージアプリやキーノートなど、様々なアプリに搭載されています。
YOUTUBEより引用
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生成される画像のスタイルも自由に選べ、アニメーション、スケッチ、イラストなどのスタイルから選択できます。
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AIによる画像生成で、クリエイティブな表現の幅が大きく広がります。しかも無制限に作成ができるというから驚きでしかないです。
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手書きのシンプルなスケッチが画像に変換(Image Wand)
YOUTUBEより引用
- 手書きのシンプルなスケッチをAIが高解像度の画像に自動変換
- Apple Pencilを使えば、誰でも簡単にラフスケッチを書ける
- スケッチから生成された画像は、メモアプリやメッセージなどで活用可能
- 例えば、学習用のわかりやすいイラストやアイコンを手軽に作成できる
- プレゼンの資料やアイデアメモなど、視覚的な表現が格段に簡単に
YOUTUBEより引用
YOUTUBEより引用
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Image Wandにより、ペンで描いたラフなスケッチから高品質の画像がワンタッチで生成できるようになりました。Apple Pencilとの連携で、手書きの直感的な表現力と、AIによる画像生成の精度が融合しています。メモを視覚化する際の新しい選択肢として、業務やプライベートで幅広く活用できるでしょう。
オリジナル絵文字作成(Genmoji)
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- テキストを入力するだけで、オリジナルの絵文字をAIが自動生成
- 写真から友達や家族そっくりのGenmojiも簡単に作成可能
- メッセージアプリのステッカーやインライン絵文字として活用できる
- Genmojiを使えば、ユニークでパーソナライズされた表現が可能
- テキストや画像からクリエイティブな絵文字を生み出す革新的な機能
YOUTUBEより引用
Genmojiにより、ユーザーはこれまでにない個性的な絵文字を手軽に作り出せるようになりました。テキストや写真からクリエイティブな絵文字を生成するこの機能は、メッセージングの新しい体験を生み出す可能性を秘めています。
写真アプリ(Clean Up)
YOUTUBEより引用
写真アプリのAI機能強化
- Clean Upツールで不要なオブジェクトをAIが自動削除
- 写真から邪魔な物を簡単に除去できる
- AIが自然な修正を施し、クオリティの高い画像に
- 自然言語による写真・動画の検索が可能に
- 「夏の海」など概念を入力するだけで該当コンテンツを素早く探せる
- AIが感動的なメモリームービーを自動作成
- 写真から最高の思い出動画を生成
- 最適なBGMもApple Musicから自動選
YOUTUBEより引用
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このように、写真アプリにAIの高度な機能が多数導入されました。画像補正、検索、動画編集など、AIがこれまでの作業を大幅に効率化します。ユーザーは手間をかけずに、質の高いコンテンツを楽しめるようになるでしょう。
音声認識と要約機能の強化
音声認識と要約機能の強化により、以下が可能になります。
- 電話アプリで会話を録音・文字起こし
- 通話内容を音声から自動で文字データに変換
- 後から内容を確認したり共有したりできる
- AIによる要約機能
- 文字起こしした会話録音データから重要ポイントを抽出
- Apple Intelligenceがコンパクトでわかりやすい要約を自動生成
- 長時間の会話でも、すばやく内容を把握可能に
これらの機能により、電話での打ち合わせや重要な連絡事項を逃すリスクが大幅に低減します。AIが会話を文字起こしし要約することで、手間をかけずに効率的に内容を共有・活用できるようになります。ビジネスシーンはもちろん、プライベートでの活用も期待できる高度な音声認識・要約技術です。
Apple IntelligenceとChatGPTの違い
アップルのAIへのアプローチは、「まずは安全に注意深く」といった方針です。この方針は、アップルが提供するすべての製品に適用されます。約束通りに機能すれば、Apple Intelligenceは虚偽の情報を生成したり、不適切な内容を提示したりすることが少なくなるはずです。
公式によると、Apple Intelligenceのテストに参加したテスターたちは、このモデルがOpenAIやマイクロソフト、グーグルのオンデバイスのモデルよりも有益で、かつ害が少ないと感じたと述べています。フェデリギ氏は、「ティーンエージャーに飛行機を操縦させるようなことはしない」と語っています。
新しい文書作成アシスタントSiriは、一部の難しいクエリに対してのみChatGPTを利用しますが、それもユーザーの許可を得た場合に限られます。
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フェデリギ氏は、「ユーザーがChatGPTを利用しようとする際には、その前に必ず確認を行います」と述べています。「アップルのプライバシー空間を離れて別のモデルを使用する場合でも、常にユーザーのコントロール下にあり、完全な透明性が保証されます」と語りました。
通常のAIよりも安全性が保障されるのがうれしいポイントですね。
AppleとOpenAIが提携を発表
一方で、AppleはOpenAIとも提携を発表しました。
YOUTUBEより引用
AppleはOpenAIの技術を一部利用し、Apple Intelligenceの機能を強化する予定だと報じられています。具体的には、OpenAIの言語モデルをApple Intelligenceに組み込むことで、より自然な対話を実現させるとのことです。
つまり、Apple Intelligenceは完全にApple独自の技術だけでなく、OpenAIの技術も取り入れた”ハイブリッドAI”なのです。
イーロン・マスクの反応が話題に
資産家であるイーロン・マスク氏は、アップルが基本ソフト(OS)レベルでOpenAIの人工知能(AI)ソフトウェアを組み込んだ場合、同社の製品を自社から締め出すと発言しました。
この発言は、アップルが10日に行ったプレゼンテーションで、デジタルアシスタント「Siri」を通じてユーザーがOpenAIのチャットボット「ChatGPT」にアクセスできるようになると発表したことを受けたものです。アップルは、この機能を年内に新しいAI機能の一部として展開する予定です。
マスク氏はOpenAIの共同設立者ですが、現在は同社と対立しています。マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「アップルがOSレベルでOpenAIを組み込めば、アップル製品は私の会社で使用禁止になるだろう。それは容認できないセキュリティ違反だ」とコメントしました。
「Apple Intelligence」はいつから使える?
Apple Intelligenceは、2024年9月にリリース予定のiOS 18、iPadOS 18、macOS 19で利用できるようになります。
・Apple Intelligenceは、iPhone 15 Pro、M1以降を搭載したiPadとMacで利用可能になります。
・今夏には米国英語でベータ版が公開され、今秋に正式リリースが予定されています。
一部の機能や英語以外の言語、対応機種については、来年以降に順次展開される予定です。ただし、すべての機能が最初から使えるわけではありません。Apple Intelligenceの機能は段階的に拡張されていく予定です。
最初は「Siri」の機能強化が中心となり、その後テキスト生成、画像生成などの創作機能が追加されていくと見られています。
「Apple Intelligence」まとめ
Appleの新しい人工知能「Apple Intelligence」は、さまざまな機能を1つのAIで実現しようとするものです。
中核となる「Siri」は、デバイス上の情報を認識したり、自然な対話ができるようになるなど、大幅にパワーアップしています。
一方で、Apple IntelligenceはOpenAIの技術も取り入れた”ハイブリッドAI”でもあります。
プライバシーの観点から見れば、オンデバイスで動作するApple Intelligenceの方が有利です。しかし、イーロン・マスクは人工知能の危険性を指摘しています。
Apple Intelligenceの行方が、AIの未来を左右する可能性もあります。今後の展開に注目が集まることでしょう。
趣味:業務効率化、RPA、AI、サウナ、音楽
職務経験:ECマーチャンダイザー、WEBマーケティング、リードナーチャリング支援
所有資格:Google AI Essentials,HubSpot Inbound Certification,HubSpot Marketing Software Certification,HubSpot Inbound Sales Certification
書籍掲載実績:Chrome拡張×ChatGPTで作業効率化/工学社出版
突如、社内にて資料100件を毎月作ることとなり、何とかサボれないかとテクノロジー初心者が業務効率化にハマる。AIのスキルがない初心者レベルでもできる業務効率化やAIツールを紹介。中の人はSEO歴5年、HubSpot歴1年