画像生成AIを使っていて「服の色だけ変えたいのに、顔まで変わってしまった」という経験はありませんか。従来の画像生成AIは、部分的な編集を指示しても画像全体を作り直してしまう傾向がありました。そんな悩みを解決する可能性を秘めた新しい画像生成AIが、2025年に入って突如として注目を集めています。それが「nano-banana」です。
以下はnano-banana(左)とMidjourney(右)
Midojourneyで出力された画像を加工しました。
この謎に包まれた画像生成AIは、海外のAIモデル比較サイトに現れ、その高い精度で多くのユーザーを驚かせています。特に画像の一部だけを自然に編集できる能力は、これまでの画像生成AIの常識を覆すものとして評価されています。本記事では、nano-bananaの使い方から特徴、そして実際の活用方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。


- ① nano-bananaは2025年に登場した謎の画像生成AIで、画像の一部だけを精密に編集できる「原型リスペクト編集」が最大の特徴。服装変更やアングル調整をしても顔や背景の一貫性を完璧に維持できる革新的技術。
- ② LMArenaで無料で試用可能。画像をアップロードして編集指示を入力すると2つのAIモデルが結果を生成し、投票システムでnano-bananaに遭遇。現時点では商用利用不可で研究・個人利用に限定。
- ③ ECサイトの商品画像編集、ファッション業界のデザイン試作、広告制作など幅広い活用可能性。個人情報を含む画像のアップロードは避け、偽サイトに注意しながら安全に利用することが重要。
nano-bananaとは?
lmarenaからランダムで出現するnano-banana
nano-bananaは、2025年に海外のAIモデル評価プラットフォーム「LMArena※」に突如として登場した画像生成AIモデルです。このAIの最大の特徴は、画像の一部分だけを精密に編集しながら、全体の一貫性を保てることにあります。
現時点では開発元や技術的な詳細は一切公表されておらず、GoogleやOpenAIなどの大手テック企業が開発した研究モデルではないかという憶測が飛び交っています。しかし、公式な発表がないため、その正体は謎に包まれたままです。LMArenaでは、異なるAIモデルが生成した画像を比較投票する仕組みを採用しており、nano-bananaはこの比較において高い評価を獲得しています。
従来の画像生成AIでは、服装を変更したり、カメラアングルを調整したりする際に、人物の顔や背景まで大きく変化してしまうことが課題でした。nano-bananaはこの問題を解決し、指定した部分だけを自然に編集できる能力を持っているとされています。


※LMArenaは、大規模言語モデルを匿名のクラウドソーシングによる一対比較で評価する、公開Webベースのプラットフォーム
nano-bananaの特長
nano-bananaが注目される最大の理由は、その「原型リスペクト編集」と呼ばれる機能です。これは、元画像の特徴を最大限に保ちながら、指定された部分だけを精密に編集する能力を指します。
具体的には、人物の服装を変更しても顔立ちや髪型、ライティングは完全に維持されます。また、カメラアングルを大幅に変更した場合でも、登場人物の同一性や関係性が破綻することなく、自然な画像を生成できます。背景やシーンの整合性も高いレベルで保たれるため、まるでプロのカメラマンが別角度から撮影したかのような仕上がりになります。
さらに、nano-bananaは複雑な指示にも対応できる柔軟性を持っています。「上半身はそのままで、スカートだけをパンツに変更」といった細かな要求にも応えることができ、これまでの画像生成AIでは困難だった精密な編集作業を可能にしています。この技術により、デザイナーやクリエイターの作業効率が飛躍的に向上する可能性があります。
nano-bananaは無料?
現在、nano-bananaを試すことができるLMArenaは、基本的に無料で利用可能です。ただし、いくつかの重要な注意点があります。
nano-bananaは常に利用できるわけではなく、ランダムに選ばれるモデルの一つとして登場するため、必ず使えるという保証はありません。
将来的に有料サービスとして提供される可能性もありますが、現時点では公式な料金体系は発表されていません。インターネット上には「nano-banana公式サイト」を名乗るページが複数存在しますが、これらの真偽は確認できていないため、個人情報の入力や課金には十分な注意が必要です。安全に利用するためには、現時点ではLMArenaを通じた無料での試用に留めることをおすすめします。
nano-bananaの使い方
nano-bananaを実際に使用するための具体的な手順を説明します。現時点で最も安全で確実な方法は、LMArenaを通じて利用することです。
ステップ1:LMArenaへのアクセス
まず、ウェブブラウザでLMArena(lmarena.ai)にアクセスします。特別な登録やログインは不要で、すぐに利用を開始できます。サイトは英語表記ですが、直感的なインターフェースなので操作に困ることはないでしょう。

ステップ2:画像のアップロード
画面上の画像アップロードボタンをクリックし、編集したい画像を選択します。対応している画像形式はJPEGやPNGなど一般的なものです。アップロードする画像は、個人情報が含まれていないものを選ぶことが重要です。
こちらをもとに試してみます。

「+」ボタンの「Upload Image」を押下し、画像を添付

photoアイコンの「Generate Images」を押下

ステップ3:編集指示の入力
チャット欄に編集したい内容を英語で入力します。例えば「Change only the shirt color to blue」(シャツの色だけ青に変更)のような具体的な指示を出します。日本語での指示も可能な場合がありますが、英語の方が精度が高い傾向があります。
Change hair color to green(髪の色を緑色に変更)と指示してみました。
そのままEnterを押下すると・・・

注意点が出てきます。結論としては機密情報や商売目的ではつかわないことです。

同意するとそのまま生成が始まります。

生成ができました!このあとどっちがクオリティが高いかを選択します。
左の方が画像が鮮明に見えます。

これ判定しないとどのモデルなのか出してくれないんです。
またそれが面白いですよね。

「Left is Better」を押下しました。すると・・・

ステップ4:結果の比較と投票
やっぱりnano-bananaでした!鮮明なだけある!すごい。
指示を送信すると、2つの異なるAIモデルが生成した画像が表示されます。どちらがより良い結果かを選んで投票します。投票後にモデル名が表示され、nano-bananaが使用されていたかどうかが分かります。この過程を繰り返すことで、nano-bananaに遭遇する機会が増えます。

実際にDLした画像です。右はGeminiです。髪の毛のくっきりした質感わかりますか?圧倒的ですよね。
nano-bananaは出てこないことも多いです。例えば以下のように。

nano-bananaの編集テクニック
効果的にnano-bananaを活用するためのプロンプト(指示文)の書き方にはコツがあります。まず、変更したい部分を明確に指定することが重要です。「服を変える」よりも「白いTシャツを黒いジャケットに変更」のように具体的に記述することで、より精度の高い結果が得られます。
また、変更しない部分についても明示することで、意図しない変更を防ぐことができます。「顔と背景はそのままで、服装だけをカジュアルからフォーマルに」といった指示により、必要な部分だけを確実に編集できます。複数の変更を一度に指示するよりも、一つずつ段階的に編集していく方が、より自然な結果を得やすい傾向があります。
例えば先ほどできた画像を使ってさらに横顔を表現したいと思います。
Change the face to a profile while keeping the hair color the same(髪色はそのままで顔面を横顔に変更)

良い感じですが、nano-bananaではなかったです。確かに目の質感が違う。鼻も高すぎ。左がぽいけど画質が悪い。
もう一度チャレンジします。

わ、すごい!nano-bananaで出力された画像がしっかり鼻のイメージもつかんでおり、目の違和感もありません。


さらに、カメラアングルの変更においては、「正面から右斜め45度の角度に」のように数値を含めた具体的な指示が効果的です。照明条件を維持したい場合は「keep the same lighting」(同じ照明を維持)といった補足指示を加えることで、より一貫性のある結果を得ることができます。
効果的なプロンプトの実例集
実際にnano-bananaで高品質な結果を得るための具体的なプロンプト例を紹介します。これらの例を参考にすることで、より効率的に望む結果を得ることができます。
人物の服装変更では「Change the casual t-shirt to a formal business suit while keeping the same pose and facial expression」(カジュアルなTシャツをフォーマルなビジネススーツに変更し、同じポーズと表情を維持)のような詳細な指示が効果的です。色の変更では「Replace the red dress with an identical dress in emerald green, maintaining all wrinkles and shadows」(赤いドレスを同じデザインのエメラルドグリーンのドレスに置き換え、すべてのしわと影を維持)といった具体的な指定が重要です。
背景の変更においては「Change the indoor office background to an outdoor park setting with natural lighting, keep the subject unchanged」(室内のオフィス背景を自然光のある屋外の公園に変更し、被写体は変更しない)のように、環境と照明の条件を明確にすることが大切です。また、季節感を変更する場合は「Transform the summer scene to winter with snow, but maintain the same time of day and composition」(夏のシーンを雪のある冬に変更するが、同じ時間帯と構図を維持)といった時間的要素の指定も有効です。
nano-bananaとMidjourneyを比較してみた
nano-bananaと業界をリードする画像生成AI「Midjourney」を比較すると、それぞれの特徴が明確になります。Midjourneyは芸術的で創造的な画像生成に優れており、ゼロから美しいアートワークを作り出すことができます。一方、nano-bananaは既存画像の編集と一貫性の維持に特化しています。
編集精度の面では、nano-bananaが圧倒的に優れています。Midjourneyで画像を部分編集しようとすると、多くの場合、画像全体が再生成されてしまいます。これに対してnano-bananaは、指定した部分だけを自然に変更し、その他の要素は完璧に保持します。例えば、人物の表情や髪型を維持したまま、服装だけを変更するといった作業は、nano-bananaの得意分野です。
以下はnano-banana(左)とMidjourney(右)の画像比較です。
ただし、創造性や芸術性という観点では、Midjourneyに軍配が上がります。Midjourneyは幻想的な風景や独創的なコンセプトアートを生成する能力に長けており、クリエイティブな作品制作には欠かせないツールです。用途に応じて使い分けることが、最も効果的な活用方法といえるでしょう。
安全に利用するための注意事項
nano-bananaを利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、個人情報や機密情報を含む画像は絶対にアップロードしないでください。LMArenaの利用規約によると、アップロードされたコンテンツはサービス改善のために使用される可能性があります。
また、生成された画像の著作権についても注意が必要です。現時点では、LMArenaで生成された画像の商用利用は認められていません。研究や個人的な実験目的での使用に留める必要があります。将来的に商用利用が可能になった場合でも、元画像の著作権や肖像権には十分な配慮が必要です。
セキュリティ面でも注意が必要です。インターネット上には「nano-banana公式サイト」を名乗る怪しいウェブサイトが複数存在しています。これらのサイトでは個人情報の入力や課金を求められることがありますが、公式性が確認できないため利用は避けるべきです。現時点では、LMArenaを通じた利用が最も安全な方法です。
プライバシーとデータ保護
nano-bananaを使用する際のプライバシー保護は極めて重要です。アップロードした画像やプロンプトは、AIモデルの学習データとして使用される可能性があります。そのため、個人を特定できる情報や、プライベートな内容を含む画像の使用は避けるべきです。
特に注意すべきなのは、顔写真や個人的な書類、住所が分かる画像などです。これらの情報が第三者に渡る可能性を考慮し、常に慎重な判断が求められます。企業で利用する場合は、社内規定やセキュリティポリシーに従い、適切な承認を得てから使用することが重要です。
また、生成された画像を公開する際にも注意が必要です。たとえ自分で撮影した画像を編集したものであっても、その画像に写っている人物の肖像権や、背景に含まれる著作物の権利を侵害しないよう配慮する必要があります。
まとめ
nano-bananaは、画像生成AI技術の新しい可能性を示す革新的なツールです。従来の画像生成AIが苦手としていた部分編集を高精度で実現し、クリエイティブワークの効率化に大きく貢献する可能性を秘めています。現時点では研究段階のツールであり、商用利用はできませんが、その技術の先進性は多くのクリエイターやデザイナーから注目を集めています。
使い方はLMArenaを通じて無料で試すことができ、簡単な手順で高品質な画像編集を体験できます。ただし、プライバシーやセキュリティには十分な注意を払い、個人情報を含む画像のアップロードは避ける必要があります。また、生成された画像の著作権や商用利用については、現時点では制限があることを理解しておくことが重要です。
今後、nano-bananaの正体が明らかになり、正式なサービスとして提供される日が来れば、画像編集の世界に大きな変革をもたらすことでしょう。それまでは、研究目的での利用に留めながら、この革新的な技術の発展を見守っていくことが賢明です。画像生成AIの進化は日進月歩であり、nano-bananaはその最前線を走る存在として、今後も注目され続けることは間違いありません。
趣味:業務効率化、RPA、AI、サウナ、音楽
職務経験:ECマーチャンダイザー、WEBマーケティング、リードナーチャリング支援
所有資格:Google AI Essentials,HubSpot Inbound Certification,HubSpot Marketing Software Certification,HubSpot Inbound Sales Certification
▼書籍掲載実績
Chrome拡張×ChatGPTで作業効率化/工学社出版
保護者と教育者のための生成AI入門/工学社出版(【全国学校図書館協議会選定図書】)
突如、社内にて資料100件を毎月作ることとなり、何とかサボれないかとテクノロジー初心者が業務効率化にハマる。AIのスキルがない初心者レベルでもできる業務効率化やAIツールを紹介。中の人はSEO歴5年、HubSpot歴1年